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Aug 27, 2025 / Interview

MOHEIM × クラフトシップス 日用品と職人技の共創記 vol.02[対談篇]

世界一美しいゴミ箱「SWING BIN」に

石目模様の吹付塗装を施した〈石目模様モデル〉

MOHEIMと日本の職人技が生んだ開発背景を辿る

MOHEIMのプロダクトに共通するのは、ミニマル、そしてシンプル。余計なものを省いた、潔い佇まいと美しさ。

プロダクトを手にした人がささやかな贅沢や喜び、幸せを感じてもらえることを想いながら、デザインと向き合っています。

 

その哲学を象徴するのが「SWING BIN」。2010年にミラノ・サローネで発表されたプロトタイプは「世界一美しいゴミ箱」と称され、いまなおブランドを代表する存在です。

 

今回、その名作にMOHEIMとクラフトシップスの共同開発で、日本の職人技を重ねた〈石目模様モデル〉が誕生しました。

石目模様の吹付塗装によって生まれる微細な粒子の凹凸は、光の角度や見る距離によって表情を変え、静謐な佇まいに奥行きをもたらします。職人が一つひとつ丁寧に仕上げることで、同じ表情は二つと存在しません。

日常に寄り添う道具でありながら、時とともに愛着を深めていく。そんな一台となりました。

 

本稿では、MOHEIMのクリエイティブ・ディレクター竹内さんにお話を伺い、受け継がれてきた思想とSWING BINの魅力、そして別注モデルの構想を通して〈石目模様モデル〉誕生の裏側を辿ります。

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01 コンセプト ── 長く使えるものを目指して

 

CS  森川)

MOHEIMさんのものづくりは、どのプロダクトを見ても“時間が経っても古びない”という印象があります。ブランド立ち上げの当初から大切にしてきた価値観はどんなところにあるのでしょうか。

 

MOHEIM 竹内さん)

やっぱり「シンプル」「ミニマル」であることですね。部屋に馴染んで、主張しすぎず、飽きずに長く使ってもらえるもの。それは形だけでなく、素材感や質感も含めて大事にしてきました。シンプルな佇まいの中に、ずっと手元に置いておきたい空気感を宿せるかどうか。そこは変わらない基準だと思っています。

CS 森川)

たしかに、どのプロダクトを見てもその一貫性を感じます。特にSWING BINは、ブランドを象徴する存在になっていますよね。

 

MOHEIM 竹内さん)

SWING BINは、一見すると斬新な構造ですが、フォルム自体はとてもプリミティブなんです。切り株やししおどし、門松のように、日本人にとってどこか馴染みのある形を意識しました。日常の道具でありながら、どんな空間でも馴染むようなオブジェとしての存在感を目指したんです。

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02 名作の核 ── 世界で「美しい」と称された理由

 

CS 森川)

「世界一美しいゴミ箱」と呼ばれたことは、やっぱり特別な出来事でしたか?外国の方々の反応についてもぜひ伺いたいです。

 

MOHEIM 竹内さん)

当時はまだプロトタイプしかなくて、どうしても商品化したいという思いが強かったんです。その挑戦の場に選んだのがKickstarterでした。当時のクラウドファンディングは、ほとんどがガジェットや電子機器ばかりで、日用品を出すのはとても稀でした。

 

逆にそれが目を引いたのかもしれません。海外のライターが「世界で一番美しいゴミ箱」と書いてくれて、そこから多くの声が広がったんです。「これなら部屋に置きたい」「オブジェのようだ」という声は、とても印象に残っています。

 

CS 森川)

「ゴミ箱を部屋に置きたい」って、なかなか聞かない言葉ですよね(笑)。それだけ価値観を揺さぶったのだと思います。

 

MOHEIM 竹内さん)

結果的に支援も大きく集まり、量産化につながりました。でも実は、その前にミラノ・サローネで発表した時点から「どこで買えるのか」という声は届いていて。そうした期待がKickstarterを後押ししてくれたんです。

 

CS 森川)

そういった声が海外から届くのは嬉しいですね。優れたプロダクトは、国や言語を超えて価値が共有されるんですね。

 

MOHEIM 竹内さん)

はい。2011年に正式にローンチしてから、もう10年以上が経ちますが、今もなお世界中で選ばれているのは本当にありがたいことです。単なるヒット商品というより、「日用品にも美は宿る」という価値観が国や世代を超えて共感してもらえたのだと感じます。

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03 開発の起点 ── 「適材適所」が生む新しい価値

 

CS 森川)

今回の石目模様の吹付塗装についても伺いたいです。デザインの要素をどう形にしていくか、職人技術をどう取り入れていくかは大きなテーマですよね。

 

MOHEIM 竹内さん)

私たちはクラフトマンシップを前面に押し出すブランドではないんです。大切なのは「適材適所」。その技術でしかつくれないものがあれば積極的に取り入れます。たとえば、90歳近い職人さんが手づくりするキャニスターを現代の生活に合わせてMOHEIMらしく商品化したこともあります。クラフトの力を借りて、新しい価値を生む。それが私たちのやり方です。

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CS 森川)

なるほど。完成されたプロダクトに対して、技術をどう重ねるかという視点ですね。

正直、すでに形を成した製品に手を加えることには迷いもありました。ブランドの意図を損なわないよう、何度もシミュレーションを繰り返し、素材感や仕上げの精度を徹底的に検証したんです。その結果、既製品へのリスペクトを前提にしながら、新しい表情を与えることができたと感じています。

 

MOHEIM 竹内さん)

SWING BINもベストセラーとして長く愛されてきたからこそ、今回の石目模様の吹付塗装は“新しい表情を引き出す”よい機会になりました。大量生産できない職人技術を量産品に掛け合わせることで、新しい価値や存在感が生まれる。それがすごく面白いと感じています。

 

私たちのプロダクトには、樹脂やブリキ、ガラスや磁器といったさまざまな素材があります。それぞれに異なる可能性が広がっていて、今回のような取り組みからまた新たな表現や価値が生まれていくのではないかと思います。

 

CS 森川)

日用品に職人の技術を重ねることで、愛着が生まれていく。その意味では、このプロジェクトには社会的な広がりもありますよね。

 

MOHEIM 竹内さん)

まだ知られていない素晴らしい技術が全国にたくさんあると思います。でも後継者不足で埋もれてしまうことも多い。だからこそ、コンテンポラリーなブランドと共創して若い世代に知ってもらうことは意味がある。私たちのコアターゲットである20〜40代前半の人たちが職人技術に触れ、価値を見出してくれる。それが次の時代に技術をつないでいく一歩になると思っています。

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04 消費から継承へ ── 記憶を重ねる一台

 

石目模様の吹付塗装を施したSWING BINは、単なるゴミ箱ではなく、職人の技術とMOHEIMの哲学が重なったからこそ生まれた特別な存在です。

 

日常に溶け込みながら、静かに記憶を積み重ねるような一台。

 

消耗品に終わらず、使い続けることで“継承する存在”へと変わっていく。

どんな道具を暮らしに迎え入れるかは、未来の文化を選ぶことでもあります。

その可能性を示した今回のコラボレーションは、日常に新しい風景をもたらしてくれるはずです。

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展示・販売について


本モデルは『CRAFTED CONNECTIONS(クラフテッド・コネクションズ)』にて特別展示・販売されます。

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会期:2025年9月24日(水)〜9月30日(火)

会場:銀座三越本館7階 GINZAステージ

営業時間:10:00〜20:00(最終日は18:00閉場)

入場:無料

職人技術と6ブランドの共創によって生まれた限定モデルが一堂に会する本イベントで、ぜひ〈MOHEIM × クラフトシップス〉の新しいかたちをご覧ください。

 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000141714.html

 

※なお、本商品はイベント開催期間中(2025年9月24日〜9月30日)のみの限定販売となります。

会場に加え、公式オンラインショップでも同期間中のみご購入いただけます。

 

《 公式オンラインショップ 》

https://craftships.gallery/

【MOHEIMについて】

2014年設立のライフスタイルブランド。国内外のデザインアワードを受賞したゴミ箱「SWING BIN」をはじめ、テーブルウェアから家具まで、生活と空間におけるさまざまなプロダクトを生み出しています。デザインに共通するのはミニマル、そしてシンプル。レジデンスやホテル、オフィスなど、どのような空間にもなじむ佇まいと使いやすい機能性を大切にしています。プロダクトを手にした人の日常にささやかな贅沢を届けられることを願って、クラフトマンシップやサステナビリティも採り入れたものづくりに取り組んでいます。

 

https://www.moheim.com/

 

Instagram:https://www.instagram.com/moheim_jp/

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